早池峰山の信仰エリアは広く、北は岩手県北部から南は宮城県牡鹿半島にまで及んでいます。その中で信仰の拠点となる早池峰(峯)の名をいただく神社は、内川目の早池峯神社をはじめ、遠野市、宮古市、矢巾町にある5社です。この他、本殿とは別に祀られている社(境内社)としての早池峰神社もあります。
遠方に暮らす人々は、集団でお参りするための仕組みとして「講」と呼ばれる団体を組み、毎年、その地域から代表でお参りする人を何人か決めて送り出しました。現在でも年間に50団体以上の講中が早池峰山を訪れています。
信仰エリアには、今も早池峰山の名を刻んだ石碑が数多く遺されていますが、これは、老人や女性など早池峰山に登ることができない人が、遠方からでも拝めるようにするための碑や、講中でお参りした記念に建てたものなどがほとんどです。
図に掲載されている石碑の数は、「霊峰への誘い(芳門申麓)」の調査を参考にしていますが、岩手県一関市藤沢町内には、この調査で記載されていない石碑が17基あることがわかりました。そのため、岩手県内に遺る「早池峰山」の石碑は実際はもっと多いことが予想されています。
また、霊山として名高い早池峰山には、関東方面からもお参りのための登山に人が訪れ、大正から昭和初期の古い登山者名簿には、東京や横浜から訪れた人の記載も遺されています。
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