ここでは、銀河の森(早池峰山)で実際に活動する際の安全対策を、「知識編」「準備編」「当日編」に分けて、Q & A形式で説明します。楽しく安全に野外活動にのぞむために、知っておきたいことや準備しておくことなどを、指導者や保護者の方と一緒に確認しましょう。
岩手県の中央を流れる北上川と太平洋の間に、北上高地と呼ばれる山並みが北から南へ走っています。そのほぼ中央、遠野の北に東西に尾根を伸ばすように早峰山があります。盛岡方面からは裾野をゆったりと広げた形に、花巻方面からは、鋭く天を突くきれいな三角の形に見えます。三陸沖からも見えるため、昔から漁師や船乗りの航海の目印ともなってきました。
標高は1917m。東に剣ヶ峰、西に中岳、鶏頭山が連なる山並みの最高峰です。岩手県では、岩手山の2038mに次ぐ2番目の高さです。
名前の由来には諸説あります。代表的な三つを紹介しましょう。一つは、アイヌ語の「パハヤチニカ」説。「パハ」は東、「ヤ」は陸、「チニカ」は脚で「東陸の脚」。次は「開慶水」由来説。早池峰山頂付近にある泉は、人が近づくと枯れ、修験者の観音経で元に戻るという伝説があります。枯れて湧くのが早いので「早池」。三つ目は、海上守護信仰説。三陸沖から見える早池峰山は航海安全の神様で、信仰が薄いと山は姿を隠し疾風(ハヤチ)を呼んだと云われています。いずれにしても、「神の住む山」と信じられていたのでしょう。あなたは、どれを信じますか?
早池峰山は「高山植物の宝庫」と言われ、その一帯には200種にも及ぶ高山植物があると言われています。日本のエーデルワイスと呼ばれるハヤチネウスユキソウは特に有名です。
頂上は、蛇紋岩に囲まれた広場です。毎年山開きの日には、この広場で早池峰神楽の権現舞の奉納が行われます。広場の脇には山頂を示す標柱や、50名ほどが入れる避難小屋をはじめ、早池峰神社奥宮や伝説の泉・開慶水などがあります。
天候に恵まれれば、北には姫神山をはじめとする北上高地の山々、北西には岩手山、西には鶏頭山へと続く山並みの向こうに奥羽山脈、東に目を向けると太平洋、南には薬師岳が目の前に迫り、南西には焼石連峰の奥に鳥海山も望めます。そしてなにより、山頂にたどり着いたというあなたの「達成感」がそこにあるはずです。
人並みの体力があれば、登山が初めての人でも登ることができます。比較的登りやすい小田越コースの往復がおすすめです。天気のいい日、朝の早いうちから登り始めるのがポイント。日が長く、高山植物が見ごろの7月ごろがおすすめです。休日は、たくさんの人が登っていますので安心です。花や景色を見ながら、あせらずゆっくりと登りましょう。もし途中でつらくなったら、ムリをせず引き返すこと。山は逃げません。また登りに来ればいいのです。登山に必要な最低限のものを持つこと、登山にふさわしい服装をすることが絶対条件です。
登山コースや交通規制等については、花巻市のホームページで確認できます。交通機関については、登山バスを運行している岩手県交通や大迫のタクシー会社などに問い合わせるといいでしょう。河原の坊登山口には早池峰総合休憩所があり、花やコースの詳しい情報を知ることができます。
一般的な登山口の河原の坊と小田越登山口までの移動は、基本的にマイカーとなります。河原の坊には駐車場がありますが、小田越には駐車場はありません。公共交通機関として、JR石鳥谷駅から岳集落まで日に数本の路線バスがありますが、そこから先は徒歩かタクシーです。6月中旬から8月上旬の土日、祝日は岳と江繋間でマイカー規制が行われますので、登山口まではシャトルバスを利用しましょう。